PMO Business Magazine
最近、メルカリなどのフリマアプリを使ったことがあるという方が増えてきたのではないだろうか。フリマアプリの市場規模は2017年で4,835億円1。2016年(3,052億円)と比べると、1年間で1.5倍の規模へと成長している。
昨年11月にメルカリとニッセイ基礎研究所は、日本の一般家庭にある不要品の量(=「かくれ資産」)を調査し、メルカリでの実際の平均取引価格と掛け合わせることで、家庭に眠るかくれ資産を推計した2。
その結果、かくれ資産額は日本全国で約37兆円となった3。資産と言えば、一般的には金融資産や不動産が思い浮かぶだろうが、これらに続く第三の資産と言えるインパクトがあるのではないだろうか。
なお、かくれ資産額は1人あたり平均28.1万円、1家庭あたり平均69.4万円であった。家族の人数に比例し、4人家族では平均100万円を越える。ちなみに、2018年の労働者1人あたりの月収は平均32.4万円、年間賞与は平均76.5万円であるため(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)、家庭にある不要品をかき集めると、実は労働者1人あたりの月収やボーナスに近い金額になる。
調査では、かくれ資産の予想額も尋ねたところ、平均8.8万円であった。つまり、家庭には予想の3倍以上のかくれ資産が眠っていることになる。
かくれ資産の内訳を見ると、最も多いのは「服飾雑貨」(41.7%)、次いで「書籍・CD・ゲーム類」(21.7%)、「家具・家電・雑貨」(18.2%)、「ホビー・レジャー」(14.0%)であった。男性は「書籍・CD・ゲーム類」や「ホビー・レジャー」などの趣味系のかくれ資産が、女性は「服飾雑貨」などのファッション系のかくれ資産が多い。かくれ資産額は、男性(平均27.1万円)より女性(平均29.4万円)の方が2万円ほど多かった。これは、女性で多いファッショングッズの単価が高いためだ。
また、かくれ資産額は年齢に比例し、最も多い60代の女性では約50万円にもなる(図)。年齢とともにモノが増え、住む場所や収納スペースが広くなるために、かくれ資産額が高くなるのだろう。
ところで、消費者がフリマアプリを利用する目的は、お小遣い稼ぎや節約などの経済的なメリットによるものという印象が強いかもしれないが、実はそれだけではない。
フリマアプリでモノを売る理由の1位は、実は「捨てるのがもったいないから」だ4。また、「物の有効活用をしたいから」も比較的上位に上がる。使える物を捨てるのは罪悪感がある、何かの役に立ったら嬉しい、という気持ちがあるのかもしれない。一方、買う側は「安く買えるから」が1位だが、「掘り出し物があるから」や「お店に売っていないものがあるから」も上位に並んでおり、フリマアプリならではのワクワク感が透けて見える。消費者はフリマアプリに対して、経済面以外の価値も見出しているようだ。
2017年に、ついに60代前半の女性のスマートフォン保有率(57.3%)がガラケー(40.9%)を超えた5。現在のところ、フリマアプリは若者中心に利用されているようだが、かくれ資産の多い高年齢層に広がる日も近いのではないだろうか。